岡崎体育。
ここ数年の音楽界における大出世株ですよね。
大ヒットした『MUSIC VIDEO』はTVでもよく取り上げられていました。あとは『感情のピクセル』とか。
楽曲のクオリティはめちゃくちゃ高いのに、歌詞とPVでは全力でふざけてくる感じ。 まさに新世代のエンターテイナーですよね。 口パクを公言して叩かれない唯一の存在なのではないでしょうか。
しかし、彼の曲はそういった曲ばかりではありません。
彼の音楽は想像以上に幅広いです。 それを伝えたくて筆をとっています。
とりあえず一度聴いて見てください。 イメージ変わりますから。
岡崎体育『鴨川等間隔』
京都、鴨川
京都って本当に独特な土地柄ですよね。
神社仏閣、花街、芸者。
あと、キツネ。
歴史があって、華やか。
ちょっとした異世界感。
しかし、不思議なもので京都の学生というと途端に華やかさが消え、苦学生が浮かびます。
金欠、四畳半、煎餅布団。
あと、キツネ、みたいな。
まぁそれって、森見登美彦氏(『夜は短し歩けよ乙女』等)と万城目学氏(『鴨川ホルモー』等)の功績だと思うんですよ。
功罪ですかね。
特に今の20〜30代にとっては。
そんな京都における苦学生の世界観を体現した曲です。
卑屈すぎる歌詞
友達は皆それぞれの
新しい道を歩んでんだろうし
在学生は塩田と俺か
アイツはいいな 家を継ぎゃいいもんな
鴨川等間隔 寄り添う恋人達の心理的距離
風になびく髪を耳にかける仕草だけは許してやろう
鴨川等間隔 橋の上 見下ろしながら見下される
十六文キックでカミから順に蹴落としたりたい気分だぜ
凄い、なにこれ卑屈。
曲名の鴨川等間隔とは、鴨川の河川敷に距離を空け転々と座るカップルのことですね。京都名物とも言われます。
主人公は留年したのでしょう。
周りが社会人になり、新たな環境へと旅立つ中、大学に取り残された学生の鬱々とした卑屈さと将来への漠然とした不安を描いています。
学生時代、くすぶっていた方には刺さるのではないでしょうか。
陽の者(いわゆる陽キャ、又の名を夜なのにサングラスかけちゃう勢)を横目で見ていた系の人とかね。
因みに、私はぶっ刺さりすぎて傷口が膿んでます。 ネガティブな時には聴けないですよ。 そのまま布団に潜り込んですすり泣く他に道は残されなくなるので。
布団が唯一の逃げ場。
私から布団を奪うな、朝め。
…失敬。取り乱しました。
ノスタルジックな曲調
いやぁ、ノスタルジック。
強いて言うならくるりっぽい。
今のというより、一昔前のくるりですかね。
ミドルテンポで心地の良いロックサウンド。 切なさが溢れる。
それにしてもこの京都感はなんなのでしょうか。 京都に住んでた訳でもないのに、感じる京都感とノスタルジー。
日本人に刻まれたDNAなんですかね。
当てもなく1人で街をブラブラしている時に聴きたくなります。
イメージ変わりましたかね
岡崎体育のことを『MUSIC VIDEO』のイメージで、面白ソング歌う人でしょ?って思ってる人にこそこの曲を聴いてほしいです。
振れ幅すごくないですか?
嘉門達夫と岸田繁が1人の人間の中に共存してると思ってくださいよ。
カオス、カオス。
この振れ幅こそ彼の一番の強みだと思います。 あとは、メンタルの強さかなぁ。
負け様で輝く、彼が格好いいなと心底思います。 森見登美彦氏や万城目学氏の小説が好きな人はドンピシャでしょう。
おすすめです、『鴨川等間隔』。
そして、岡崎体育。
是非。