現代神こと米津玄師の新曲『Flamingo』がリリースされましたね。 『 Lemon』が空前の大ヒットを飛ばし、今回はどんな曲を持ってくるかとみんなウキウキしていたと思うんです。
米津玄師『Flamingo』
で、この奇妙な曲ですよ。
人々の期待をハンマーでぶっ叩き壊して米津玄師の銅像に作り変えたみたいな感じですね。
遊び倒してるなぁと。 いやまぁ神様ですからね。 我々民衆の感覚なんぞ遥か飛び越えて別世界の音楽を創造しているわけですよ。 寧ろこれが天界の音楽ですから。 これを変と感じる我々が変なんです。
途中の「アーハン」とか、天使の声ですから。 雄天使の。
で、そんな新曲が発表されたタイミングで、米津玄師初期の名曲『ゴーゴー幽霊船』について語りたいなと。
いやなんで今更と思われると思いますが、 この曲『Flamingo』に通ずるものがあると思うんですよね。
米津玄師『ゴーゴー幽霊船』
ハチから米津玄師へと
『ゴーゴー幽霊船』はインディーズレーベルからリリースされた1stアルバム『diorama』の収録曲。まさにボカロP"ハチ"から"米津玄師"への過渡期に作られた楽曲です。
そのため、まだまだボカロ曲の雰囲気が残っています。 意味深な歌詞とか、音のガチャガチャ感とかね。
それでいて今の米津玄師の雰囲気も感じる。 まさに米津玄師の原点とも言える楽曲でしょう。
起源にして頂点。
不協和音
この曲最大の特徴は、不協和音。 米津玄師特有の捻くれた音作りが全開です。
直筆のイラストと歌に注目しがちと思いますが、 バックの音を意識してみてください。
音程がぐわんぐわんしてたり、
壊れたとしか思えないギターの音色だったり、
サビで聞こえるピポピポ音だったり。
イントロ変な声聞こえるのは、幽霊船の幽霊でしょうか。
カオスとも言える不協和音の入れ込み具合でしょう。 これが独特の不気味さを演出しています。
それでいて楽曲として全く破綻していない。 これだけ遊んでいるのにとっ散らかっていない。
寧ろポップに仕上げている。 このバランス感覚こそ彼が天才たる所以。
神様、仏様、米津神。
『Flamingo』に通ずる遊び方
バックの音で遊び倒した『ゴーゴー幽霊船』。 これって新曲『Flamingo』に繋がる遊び方でしょう。
パッと聴きは、演歌や民謡を感じさせる歌い方や、古風な表現を多用した歌詞、独特のサビに興味が行きがちですよね。 それにしてもフラフラしすぎです。徘徊かよ。
で、裏で響く音に注目するとですね。 この曲もまた遊びと言える音作りが詰まっています。
『ゴーゴー幽霊船』は壊れたギターの音色などあくまで楽器やシンセの音で遊んでいました。 『Flamingo』になると遂にそれだけじゃ飽き足らず、人間の声で遊び始めます。
笑い声や咳払い、巻き舌、
といった声のサンプリングが随所に。
ボイパとも言えない日常の声を取り入れるという遊び。
「あーあー、はい」とか、
「ちぇっちぇちぇ」とか、
「アーハン」とか、
雄天使が大活躍ですね。
声を楽器と捉えて曲に入れ込む。 その作業を聴く人が違和感を感じつつ、拒否反応を起こさない絶妙なラインを狙ってやってます。
で、『ゴーゴー幽霊船』同様、天才的なセンスで曲として纏め上げている。今作はポップというよりファンクかな。
この遊び心が前代未聞の中毒性を生んでいるのだと思います。 初見は奇妙な曲なんですが、聴きだすと止まらない。 スルメ曲とはこういう曲を言うのだと。
大好きなアーティストの新曲を聴いたら、あんまり良いと思えなくて、 けどそれを認めたくなくて、とりあえずスルメ曲と言って自分を誤魔化す。そんなファンの感情の逃げ場みたいなものではなく、正真正銘のスルメ曲。
今回は米津玄師初期の名曲『ゴーゴー幽霊船』から新曲『Flamingo』につながる遊び心についてでした。
まぁ私がどうこう言おうと、神様の音遊びですから。
我々民衆は米津神が創る天界の音楽を享受出来ていることを喜びましょう。
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