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フレデリックのあざとさに隠された意地

フレデリックが『オドループ』で邦ロック界に殴り込みをかけたのが2014年。 『オドループ』はyoutubeでは4000万再生を超えるなど、2010年代を代表するモンスターソングとなりました。

さらに『オドループ』から2年後、彼らは『オンリーワンダー』で再度2000万再生越えという数字を叩き出します。

これ米津玄師氏が1000万再生超えるのとはまた別の凄みがあると思うんですよ。

米津玄師氏は曲の強度もさることながら、既にヒットするだけの土壌を作り上げています。要はファンの母数が違いますから。

その点、フレデリックはそこまでの地位を確立していたとは言えないと思うんです。

なぜなら当時はあくまでフレデリックというアーティスト自体のファンが多いというより『オドループ』のファンが多いだけですもん。 初のヒット曲ですし、それはしょうがないというか当然のこと。

しかも、『オドループ』の"一発屋"扱いされている風潮すらあったと思います。 その後の曲も新人としては、十分すぎるほどだったのに。 完全に『オドループ』が凄すぎた故ですね。

その逆境の中で、『オンリーワンダー』を大ヒットさせた彼ら。 ここでようやく地位を確立した感があります。

この『オドループ』からの『オンリーワンダー』の流れは、シーンへの売り込み方としては近年でベストだと思います。

で、私が言いたいのはこれ彼ら計算ずくだと思うんですよ。

なぜか説明しますね。

全部乗せ『オドループ』

フレデリック『オドループ』

まずは『オドループ』のヒットから。
これって当時の売れる要素盛り盛りなんですよ。

光麺のトッピング全部乗せラーメンみたいなもんです。 そんなんしたら美味いに決まってんじゃんって。

2014年はいわゆる4つ打ちロック全盛時代です。 その4つ打ちロックに流行りの抽象的な歌詞を乗せて、 PVで可愛い女の子(読者モデル)に意味不明なダンスを踊らせる。

そこに、彼ら独自の中毒性のあるループというエッセンスを加える。

はい、大ヒット。
フェスでウケて成り上がっていくみたいなサクセスストーリーがありますけど、こんなんフェスで映えるに決まってますもん。

一時は聞かない日がないんじゃないかと思うくらいでした。

"踊ってない夜は知らない"んじゃないかと錯覚する程に。 そもそも踊ってる夜を知らないですけど、私。

家で1人で『U.S.A.』踊るくらいですよ、強いて挙げるなら。

そんな夜はいらない。

あざとさ『オンリーワンダー』

フレデリック『オンリーワンダー』

で、『オンリーワンダー』です。
ここで彼らは『オドループ』の流れを踏襲しつつ、進化した姿を見せます。

曲の中毒性は従来通り。
しかも繰り返すフレーズを語尾に限ったり韻を踏むことで、『オドループ』でのループ感はそのままにクドさを無くしています。

PVでは、可愛い女の子という要素をなくす代わりに、 集団ダンスを取り入れました。

特筆すべきは絵力の強さですね。
人数の多さと、踊って見たくなるダンス。

集団ダンスの魅力はその後のバブリーダンスの大ヒットでも証明されています。

いかがですかね。 時代のヒット要素をしっかり計算して取り込んでいる感じ。

あざとさすら感じます。

けど、これを出来るのが凄いんですからね。 まとめ上げるセンスがなきゃ痛いだけですから。

彼らの音楽性は『ナイトステップ』に

じゃあ、彼らの魅力とは。
売れる要素詰め込んで売れて、終わり?
そんなことはありません。

私が震えたのは、『オドループ』でも、『オンリーワンダー』でもありません。 『オンリーワンダー』から数ヶ月後に出されたこちらの1曲。

フレデリック『ナイトステップ』

なんだ、これ。
笑っちゃうくらい格好良いじゃん。 これじゃん、フレデリックって。

彼らの売りのループ感と中毒性はそのままに、 フェスウケ盛り上がりソングではなく、都会的なお洒落感を感じる曲に仕上がってます。

都会感。
クールさ。
哀愁。
雨の夜に。

どこかサカナクションの気配を感じます。

歌詞も抜群でしょう。
抽象的な歌詞でありながら、 ところどころに刺さる言葉がちりばめられている。

スーツを脱ぎ捨てるんだ 紳士

とか、一文の威力が凄い。
超パンチライン。

時代を見極め『オドループ』と『オンリーワンダー』の大ヒットを作り出した彼らは凄い。

その上でこんなことも出来るんだぞと、 『ナイトステップ』で言っているような気がするんです。

あざとさに隠れた彼らの意地を感じます。

こんな夜なら、私も知りたい。

本日はフレデリックについてでした。
ではまた。


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